■ガイドヘルパー利用技術講座 暮らしの手引き特別付録
 川崎市視覚障害者福祉協会は、同行援護の安全・安心な利用について同行援護の利用者のための研修会を平成28年8月28日に北部身体障害者福祉会館で開催しました。
 講師は川崎市視覚障害者情報文化センター (訓練担当) 中村透氏です。
 以下、講演の内容です。
 なお、文章表現は 視障協の庶務の責任でまとめたものです。
   
 1.同行援護利用時の基本の姿勢
 2.白杖の持ち方
 3.具体的な場面
 4.気持ちよく同行援護を利用するために
 5.補足説明
 6.まとめ



1.同行援護利用時の基本の姿勢
  • 白杖は持ってほしい。
    ※以下、右手で白杖を持つときについて説明。左手で持つときは左右が反対になる。
  • 利用者は左手でガイドヘルパーの右腕の肘より少し上に触る。
  • 手は親指と他の指による輪の形でガイドの腕をはさむ感じで触る。
  • 腕の脇を締め、肘は直角に曲げる。できるだけこの姿勢をくずさない。
  • 利用者はガイドの半歩後ろを歩く。
  • この姿勢により、ガイドの左右 上下への動きがわかる。
  • なお、身長の差から肩や肘を触るときも基本は同じ。
    ※ガイドは脇を締めて、右腕をだらんとして手を曲げない。
  • 脇が空いていると、二人幅よりも横幅が大きくなるので、特に左折のときに大回りになり、利用者の右肩が人や物にぶつかる危険性が増す。
    ※利用者がガイドの鞄を持って(触って)歩くのは、ガイドの動きが伝わりにくい。
  • 利用者は安全第一で考えると 両手が空いている方がよい。
  • なるべくリュックを背負う、またはショルダーバックを肩からたすき掛けする。
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2.白杖の持ち方
  • 水戸黄門様の握り、または、鉛筆を持つ形での握りの二種類のどちらかとする。
    ※なお、ひとり歩きのときは握手の握りで杖を前に出すが、この方法は同行援護のときは適当ではない。
  • 一般的な白杖の振り幅は、身体の右外側は コブシ一つ幅まで、左は身体の幅まで。
  • 同行援護のとき、ガイドの前に白杖を振り出さない。白杖は振らないのが基本。
  • 白杖は、段差の確認など、必要に応じて使う。
    ※たとえば電車の乗り降りではホームの端、端と電車との隙間、ホームと電車の床との段差を探って確認する。
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3.具体的な場面

(1)階段・段差(上がるとき、下るとき)
  • ガイドが段差を知らせる。「もうすぐ」ではなく、具体的に「1メートル位先」など。
  • ガイドは階段の直前でいったん止まる。その位置は利用者が少し前に 足をだせば階段のへりに足が届くくらいのところ。
  • ガイドが上りか下りかを言って動き始める。そのときに利用者は段を確認する。足を滑らせて、または 白杖で確認する。
(2)エスカレーターの乗り降り(上り下りとも同じ)
  • エスカレーターのベルトに触る。
  • ガイドと利用者は一列に並ぶ。基本的には上りはガイドが後ろに、下りはガイドが前に。
    *横にならぶと危険。
  • 左側のベルトに触る。ベルトは、触るだけで掴まない。
  • 白杖は立っている段の一段前の段に置く。
  • 降りるときは、ベルトが斜めから水平になってくるのを感じるとともに、エスカレーターの前の段に置いた杖の先がエスカレーターを引き込む端に当たったら、一歩前に踏み出す。
(3)手すりへの触り方の基本動作
※手すりのほか、ドアの取っ手、電車に乗る時のドアの端、いすに座るときの背もたれなど、触る必要があるときの動きについても、基本は同じ。

  • 利用者が右手の杖を左手にもちかえ、ガイドの腕と杖をまとめて持つ。
  • ガイドは前を向いたまま右手で 利用者の右手を持って手すりに誘導して触らせる。
    ※こうすれば、利用者の手を泳がせる動作はない。
    ※ガイドが向かい合って 左手で手すりへ誘導するのは進行の方向から変わってしまう動きとなり、適切ではない。
    ※利用者が杖をもったままの手で手すりを確認するのは他の人に対して危険な場合がある。
    ※利用者がこの基本動作の誘導方法を知っていればそうするようにガイドに頼むことができる。
(4)道幅の狭い場所の通過
  • 利用者とガイドの間でやり方を明確にしておく。
    基本的には次の方法がある。
  • ガイドが狭い場所と知らせて、右腕を後ろに伸ばし、一列になる。
  • 利用者は 左手を伸はし、ガイドの足を踏まないようにする。
(5)傘の持ち方
  • 2人ともなるべく濡れないためには、近づいていること。
  • まず利用者が傘の下を持ち、ガイドはその上を持つ。
    ※ガイドが傘を持ち、その腕を利用者が「基本的な姿勢」で腕に触り半歩後ろを歩く歩き方では、 利用者が濡れる割合が大きくなる。
    ※ガイドが左手の傘を利用者にさしかける方法ではガイドがぬれてしまう。
  • なお、雨具の工夫として、大きめの傘、レインコートの利用がある。
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4.気持ちよく同行援護を利用するために

(1)お金の管理
  • トラブルを避ける配慮から、利用者が極力自分で管理すること。
  • お金をガイドに預ける場合はやり方を注意する。たとえば少額を預ける。5千円、3千円限定など。そして、手渡す時には中身をお互いに確認し、 領収書をすべて渡してもらう(財布にいれてもらうなど)。
(2)食事
  • 利用者はガイドに安易にご馳走はしないこと。
    いつもそうと期待されては関係がぎくしゃくする。
    ※なお、同行援護の事業所には食事についてのルールもあるはず。
(3)荷物運び
  • 利用者は自分で持てる物を持ち運ぶこと。
  • 買い物などでガイドに荷物を持ってもらうのは当然なことではない。人情でというこ とがあるとしても、同行援護の仕事ではない。ガイドヘルパーはホームヘルパーとは ちがう。
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5.補足説明

(1)歩行速度
  • ガイドはついゆっくり歩きがちで、利用者はゆっくり歩くことに慣れてしまいがちなので、要注意。
  • 利用者はもし体力的に余裕があれば、少し速くあるいてほしいと伝えること。そうしないとせっかく外出していても運動にならない。
  • たとえば通常街中で通勤などであるいているスピードで歩いてみるとよい。ものすごく速く歩いているのがわかるはず。
  • 歩き終わってちょっと筋肉が張ったくらいの動きを繰り返すと、筋力がおちない。
(2)基本の重要さ
  • 自分の歩行の癖について それがいちばんいいとはかぎらない。
  • 中高年は、いざというときの対処の反応が体力的に落ちている自覚をもち、基本に忠実に動いておくのがよい。
(3)ファーストコンタクト(ガイドによる最初の接触の標準的な方法)
  • ガイドが手の甲で 利用者の手の甲にふれる。これで、利用者はガイドに対して立っている位置と方向がわかる。
    ※手のひらで触らない方がよい。
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6.まとめ
(1)共通認識
  • 誘導の仕方について、利用者とガイドが共通認識をもっていることが大切。
  • 気持ちよくつきあうために お互いに話をしておく。
    姿勢、歩く速度、声かけのタイミングなど、こういうときはこうしてほしいとお互いにルールをきめる。 その過程でいろいろと試してみる。
    ※とくに家族には「腕を触る基本の歩き方」も知らない人が多い。
(2)利用者の心構え
  • 歩行中利用者はすべてをガイド任せにしないで、安全のために自分でできることはする。
  • 相手が安全上完全な誘導をしてくれると期待し過ぎてはいけない。
(3)歩行訓練の勧め
  • 単独歩行でなく、同行援護を利用しての歩行についても歩行訓練を受けておく方がよい。
    たとえば誘導のされ方などを1、2回受けるだけでも、同行援護利用の安全性は格段に高まる。
  • この歩行訓練サービスは川崎市視覚障害者情報文化センターが川崎市内の視覚障害者に対して提供している(無料)。 希望により受講者の自宅まで訪問がある。是非気軽に相談してほしい。
    電話 044-222-1611
    ※白杖についての相談もできます。
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以上、ガイドヘルパー利用技術講座 暮らしの手引き特別付録のページ終わり

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