NPO法人 川崎市視覚障害者福祉協会

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第42回日本盲人会連合関東ブロック協議会川崎大会の報告

 1都7県4政令市の視覚障害者団体が視覚障害者の生活、職業、福祉の現状と課題 について討議し、「障害者の完全参加と平等」を社会にアピールしました。
[大会の概要]
開催期日:平成20年2月24日(日)~25日(月)
会場:ホテル「ケーエスピー」(川崎市高津区)
*川崎市内の会場での開催は31年ぶり2回目(本会の主催は11年ぶり)
主催:社会福祉法人日本盲人会連合関東ブロック協議会 および 川崎市視力障害者福祉協会
後援等:川崎市、財団法人川崎市身体障害者協会、社会福祉法人川崎市社 会福祉協 議会、社会福祉法人神奈川県共同募金会および川崎市鍼灸マッサージ師会が後援、 大会の趣旨に賛同する関係企業等が協賛
運営協力:川崎市視覚障害者ボランティア連絡会「オブリガード」
参加者:視覚障害者と付添い 約460名 盲導犬7頭、支援ボランティア(当日分 )60名

[大会経過]
第1日には、開会式典と記念ミニコンサート(東京交響楽団の弦楽四重奏)のあと、 4分科会~福祉・文教、職業・経済、青年(情報バリアフリー)、女性(ゴミ問題) ~に分かれて討議しました。
第2日には、全体会議で 大会宣言と大会決議を採択しました(下記)

●川崎大会宣言(平成20年2月25日)

 東に多摩川の清流の流れる人口137万の川崎市に、私たち1都7県4政令市の団体 を代表する有志・関係者4百人余りが集い、昨今の情勢について研究討議しました。
 私たちの長年の活動にもかかわらず、視覚障害者の生活にはさまざまな課題が山積 しています。
 障害者自立支援法が施行されて1年あまり、市町村の移動支援事業では地域格差が 拡大し、また、利用者定率負担が生活を圧迫するなど、この法律によって視覚障害者の生活の質が低下しています。年金を生活の基盤とする者の場合、この利用者負担のためには、現在の障害基礎年金の額はあまりにも少なすぎます。
 私たちは、適切な職業に従事して充実した生活をすることを願っています。はり、 きゅう、マッサージ業については、その職域拡大と雇用確保を図るとともに、無資格者に対して「撲滅運動」や関係機関への徹底取締りの働きかけを続けていかなければなりません。
一般企業では視覚障害者の就労促進と中途視覚障害者の就業継続が課題ですが、個々 人の状況に応じた能力発揮のための職場の理解啓発と職場環境の条件整備は遅れてい ます。
 私たちの情報格差解消へむけた社会全般の理解と取り組みは十分ではありません。 最近の情報技術による情報提供やテレビの音声解説の普及度はなお低い状況です。こ うした問題点を積極的に発信し、また自らもパソコンなどの技術の習得に努めたいものです。
 生活環境のバリアーフリー化はいまだ普及途上であり、ユニバーサルデザインや点 字表記の日常生活用品も一般的になってはいません。バリアーフリー新法の着実な実施などが必要です。
 昨年、日本が署名した「障害者の権利に関する条約」については、今後、条約批准にむけ国内法の整備が求められています。法が整備され、社会における心のバリアーフリー化も進むことを期待します。
 社会の変化とともに新たな問題が起きてきます。
 障害者施策の総合化が進む中、視覚障害の特性への配慮が軽視される危惧が生じま した。障害程度区分の適切な評価項目、視覚障害児の特性に配慮した十分な学習支援 体制などが忘れられてはなりません。
 さらに、最近の地方分権の流れの中、福祉施策の地域格差が一層拡大するおそれが あります。地域での課題の解決のために、各団体が今まで以上に多くの視覚障害者の 声を集め積極的に取り組まなければなりません。その際、全国の情報の収集提供に日 盲連の役割が重要です。
 国全体の課題の解決には国レベルで制度改正や社会への啓発の働きかけを続けてい かなければなりません。
 私たちは自立と豊かな生活を求め、改めて、障害者の「完全参加と平等」の理念の 実現を強く訴えます。
日盲連関東ブロック協議会は、この大会を契機にいっそう団結を強化し、さまざま な課題の解決にむけて、今後とも総力を挙げて邁進することをここに宣言します。
 平成20年2月25日 第42回日本盲人会連合関東ブロック協議会川崎大会
 
●川崎大会決議(平成20年2月25日)

1、地域生活支援事業の移動支援について、ガイドヘルパーの資質向上に取り組むとともに、著しい内容の地域格差の解消を図ること。
1、障害者自立支援法及び介護保険法の障害程度区分については、視覚障害の特性に 十分配慮するとともに、障害者自立支援法による費用負担は、本人のみの所得による応能負担制度とし、低所得課税世帯の負担を無料にすること。
1、入院の際のホームペルパーの派遣を拡大すること。
1、障害基礎年金を増額すること。
1、中途視覚障害者の社会復帰のため、公的リハビリテーションシステムを確立する とともに、視覚障害者の再教育、再訓練などの場として、視覚障害者自立支援センターを設置すること。
1、鍼灸マッサージの無免許者及びカイロ整体等の無免許者の徹底取り締りを行うとともに、按摩、マッサージ指圧科の新設を認めないこと。あわせて、日盲連としてタイ式マッサージの導入反対運動を展開すること。
1、高齢者施設等の機能訓練指導員や一般企業、各種公共機関のヘルスキーパー等に 視覚障害施術者を優先採用するとともに、一般企業のICT技術者などに視覚障害者の優先採用の道を開くこと。
1、事務的職種等、視覚障害者の職域開拓を進めるため、一般企業における視覚障害者の就業環境の実態を把握しその改善を図ること。
1、広く情報バリアーフリー環境の普及を促進するため、テレビのデジタル放送化と あわせた副音声化の拡大、スーパーマーケットの広告の音声コード添付とホームペー ジの音声対応、公文書の点字
音声コードまたは・音訳データ等の添付の法的義務付けと行政の印刷物への点字また は音声コード添付、選挙公報の自治体ホームページへの掲載と点字及び音声による提 供の法定化を図ること。
1、視覚障害者の円滑な社会生活のための環境整備の促進のため、災害時における障 害者の緊急避難対策の具体化と周知徹底、金融機関における代筆のサービスの徹底と 提出書類書式の記入欄の太く濃い罫線化、公共的施設のエレベーターでのボタンの点 字シールと音声案内の普及とエレベーターボタンの配列の統一化および、障害者手帳 の提示による視覚障害者の高速道路使用割引の制度化を図ること。
1、障害者に対する正しい理解認識と心のバリアを解消するため、学校教育はもとよ り、社会教育、生涯教育における福祉思想の普及を推進すること。

第42回日本盲人会連合関東ブロック協議会川崎大会の報告 終わり