NPO法人 川崎市視覚障害者福祉協会

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川崎市の移動支援の問題についての新聞報道の報告

●神奈川新聞平成20年2月24日付(23面に掲載)
 川崎市が、視覚障害者にガイドヘルパー(移動介助者)を派遣する事業者に、障害 者の外出先に関する情報を収集・保管するよう指示していることが、二十三日までに 分かった。市は「事業者による市への報酬に関する不正請求を防ぐため」と説明して いるが、障害者団体は「こうした指示は県内はもとより全国でも例がない」と指摘。 「川崎に住む障害者だけが差別されているといえる。人権侵害だ」と撤回を求めている。
 障害者の外出を支援する現在のガイドヘルパー制度は、障害者自立支援法に基づく 地域生活支援事業として二〇〇六年十月から全国で始まった。この制度は地域特性に 合わせて各自治体が運用している。
 市は運用当初から、サービス提供事業者に対して障害者の移動先を証明することが できる資料を収集し、各事業所で保管するよう指示。これを受けて事業者は、交通機 関や買い物の領収書をはじめ、面会者の名前を確認するなど障害者の個人情報を収集 してきた。視覚障害者の一人は「当初は訪問先を写真に収めて証拠にすることを市が 事業者に求めていた」と証言する。
 市は昨年四月、市視力障害者福祉協会(高橋吉四郎会長)からの申し入れを受けて 、一時間以内の外出時は証拠を不要とするなど一部運用を見直した。市障害福祉課は 「障害者のプライバシーにかかわるものもあるので、運用の改善を図った」と説明す る。一方で「市が監査する際に、台帳記録の裏付けとなる資料の保存を事業者に求め ている。領収書などの保存は企業などで一般的な行為であり、人権がどうのというものではない」と釈明する。
 これに対し、同協会の高橋会長らは「運用の改善では実質は何も変わらない。障害 者や事業者を信頼して指示を撤回してほしい」と反発している。
 また、ガイドヘルパー事業をめぐっては、障害者が役所や銀行などの公的機関など 「社会生活に不可欠」と市がみなす外出の場合は3%、これ以外の買い物や余暇など 「社会参加のための外出」は8%と、障害者の自己負担率に格差が生じている。同協 会は「自由な社会生活に対する行政の介入であり、一律の負担にしてほしい」と訴えている。
 同協会は、市議会にガイドヘルパー事業の改善に関する請願を提出したが、健康福 祉委員会で継続審議となっている。

●神奈川新聞平成20年2月26日付(25面に掲載)
視覚障害者のヘルパー
「地域格差の解消を」
盲人会連合大会で決議
 1都7県と横浜・川崎など4政令市の視覚障害者団体が集う第42回日本盲人会連合 関東ブロック協議会川崎大会が、25日までの二日間、川崎市高津区のホテル「ケー エスピー」で開かれた。
 ボランティアを含め約五百人が参加し、「ガイドヘルパーの著しい地域格差の解消を 図る」との大会決議を全回一致で採択した。
 主催は同協議会と、川崎市視力障害者福祉協会。川崎での開催は31年ぶり2回目。
 分科会では、川崎市がガイドヘルパーのサービス提供事業者にー対して障害者の外出 先情報を収集・保管するよう指示していることが取り上げられた。参加者からは、「 他に例がなく川崎市は改善を図るべき」「全国的な問題としてとりあげるべきだ」な どと厳しい意見があがった。

川崎市の移動支援の問題についての新聞報道の報告 終わり