NPO法人 川崎市視覚障害者福祉協会

【みなさんからの投稿】

アロマテラピー講習会」の報告

青年部 志子田

 音楽や読書、そしてスポーツ等、視覚にハンディがあっても楽しむことのできる余暇活動はいろいろありますが、 皆様の中には「香り」を楽しむという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 そこで関東ブロック青年部会では、去る8月19日、アロマテラピーの講座を行いました。
 時節柄、他の行事などと重なり、参加できないとの連絡を受けた団体もありましたが、加盟12団体中7団体より計17名の参加をいただくことができました。

 講師には、(社)日本アロマ環境協会認定インストラクターの山下聡子(としこ)先生をお迎えし、東京都身体障害者福祉会館を会場として行われました。

 午前はアロマテラピーの目的やメカニズムといった基本的な部分と、アロマテラピーに用いる精油(エッセンシャルオイル)の特徴や、 使用に関する注意すべきポイントについて、そして手軽にできるアロマテラピーを紹介していただきました。
 午後からは、実際にリフレッシュ系の性油を三種類(レモン、ペパーミント、ローズマリー)と、リラックス系の精油三種類 (ラベンダー、ゼラニューム、オレンジスウィート)のそれぞれの香りの主な性質を説明していただき、六種類の香りを体験しました。

 その後、今回用意されたレモン、ペパーミント、ローズマリーの三種類の精油をブレンドしたリフレッシュ系のルームスプレーと、 ラベンダー、ゼラニューム、オレンジスウィートのブレンドでリラックス系のルームスプレーを製作しました。

 最後に質疑応答を行いました。
 参加者からの質問と先生からの解答の中から、主なものをあげておきます。

質問  精油が服などについてしまった場合シミになってしまうかが見えないと心配なんですが…。
解答  精油は無色透明のものもありますが、柑橘系や樹脂由来のもの、ローズなどは シミになる危険があるので、これらの性油を使う時には直接服に付かないように注意してください。

質問  古くなってしまった精油の利用法を教えてください。
解答  一般的には、精油は購入してから一年以内(柑橘系の性油は半年以内)に使いきるとされています。
それ以上経過してしまった性油は品質が劣化するため原液に直接接触するような使用はさけて、キッチンやクツなどの消臭に利用するといいでしょう。

質問  オイルマッサージを行う時、性油の選び方やブレンドをどのようにすればいいのか、何かいい方法はありますか?
解答  現在「ブレンドオイル」といって、ブレンドされた性油も売られていますので、そういう物を活用してみてはどうでしょう。

 このように今までアロマテラピーという言葉は聞いたことはあるけど…、アロマテラピーに興味はあるけど…、 という人がほとんどで、いわゆるアロマテラピーの入門講座でしたが、参加された皆様からは、 「今回、はじめてアロマテラピーについて話を聞いてみて、これほど科学的に解明されていることを知って驚きました!」 「アロマテラピーのことは、今まで何も知らなかったけど、分かりやすく教えていただけたので、大変よく分かりました。」 「今持っている30種類の精油の名前と香りが、一発で分かるくらいまでアロマを極めたいと思いました。」 このような感想をいただくことができました。

[アロマ一口メモ]

 アロマテラピーを行う上で欠かせないのが精油(エッセンシャルオイル)です。  精油は、植物から抽出された香り精分で、無数の有利化合物質から構成されています。 この精分が嗅覚神経に働きかけ、大脳辺縁系を刺激することによって、いやしの効果が生まれるとされています。

 また精油は脂に溶けやすいという性質を持っているので、オイルマッサージや化粧品に利用することで 性油を皮下にある毛細血管から吸収させて健康と美容に役立てることができます。
 性油は、100%天然素材です。
天然の素材だからといって、100%安全とは限りませんので、その使用には注意してください。 安全に性油を使用する場合、性油は1%以下に希釈してお使いください。

 また室内に香りを芳香させたい時には、ティッシュペーパーやハンカチなどに性油の原液1~3滴をしみこませて、 室内に微かに香る程度でいいそうです。
 ※性油の入っているビンから性油を落とす際、一滴に相当する性油の量は0.05㍉㍑で換算しています。

[アロマテラピーへの期待と課題]

 今回のアロマテラピー講座の中で、アロマテラピーが私たち視覚障害者にとって、生活の中に「香りの演出!」という点で、 生活の中に潤いと豊かさを与えることのできる優れたアイテムではないか!と感じました。
 また、三療の仕事をされている方には、アロマテラピーを上手に仕事に取り入れることができれば、 物理療法的な三療と併せてメンタル面とケミカルな面からの効果も期待できるのではないでしょうか?

 しかし、実際に視覚障害者が性油を取り扱う時に、ビンからドリップする際、何滴落したのか?その計量が大変困難であることがあります。
 以前一回押すと0.055㍉㍑だけ出るワンプッシュボトルが市販されていて、講師の山下先生も便利に今も使っておられるとのことでしたが、 現在ではこのワンプッシュボトル、もう生産されていないとのこと。このワンプッシュボトルがあると、私たちにも容易に計量ができそうなんですが……。
 精油は、一滴多い少ないというだけで、香りの印象や刺激が変化する微妙な物ですので、 視覚障害者がアロマテラピーを行う場合、このように「計量」という大きな課題があることが分かりました。

[ルームスプレーを作ってみませんか?]

(材料)
無水エタノール5ミリリットル、精製水45ミリリットル、ブレンド精油5滴(単一の性油を使う場合は、3~5滴)
(作り方)
1.スプレー容器に無水エタノール5ミリリットルを入れる。
2. 1. に、お好みの精油を加え、よく混ぜ合わせる。
3.精製水45ミリリットルを加え、よく振って混ぜ合わせる。
※スプレーを使用する時は、使用前によく振ってからお使いください。

[終わりに]

 今回私たちのお世話になった山下先生は、出張専門のアロマテラピースクールを行っています。
 丁寧で分かりやすい講義はもちろんですが、講座で使うテキストも視覚障害者でも学べるように、点字と拡大文字が用意されているため、 私たちでも学びやすい環境で受講することができました。  山下先生が行っているようなスクールが全国にどれだけあるかは分かりませんが、このような形で、私たちがスキルアップするためにも、 アロマテラピーに限らず、様々な講座や講習会で、視覚障害者の「学べる環境」が整えられることを望みます。

 最後に、山下先生のスクールのURLを記しておきます。
 「出張専門アロマテラピースクール・グリーンスコラ」
http://greenschola.com/

アロマテラピー講習会」の報告 終わり