NPO法人 川崎市視覚障害者福祉協会

【視障協からの報告】

第54回日本視覚障害者団体連合関東ブロック協議会川崎大会の報告(令和2年2月)

社会福祉法人日本視覚障害者団体連合関東ブロック協議会 主催、特定非営利活動法人 川崎市視覚障害者福祉協会主管の第54回日本視覚障害者団体連合関東ブロック協議会川崎大会が令和2年2月23日(日・祝)、川崎市のかながわサイエンスパーク(KSP)で開催された。
新型コロナウイルスをめぐる諸般の事情を考慮し、大会日程を縮小し、所期の目的を達成するため第1日目の23日のプログラムを一部変更し、大会の主要部分は予定通り行われた。第2日目は中止した。
大会開催にご尽力いただいた、川崎市の視覚障害者ボランティアグループの皆様、誠にありがとうございました。また、この大会の円滑な運営のために協賛いただいた地元川崎の企業・団体のご好意に心から感謝いたします。
13時からの 開会式典では、関山 進川崎視障協会長の歓迎の挨拶 、関東ブロック協議会鈴木 孝幸ブロック長の主催者挨拶の後、大会宣言を高橋 吉四郎 川崎大会実行委員長  が発表し、大会決議も配付された資料により了承された。
山崎 直史川崎市議会議長はじめ来品からの祝辞と来賓紹介、川崎市眼科医会金児敏雄会長の祝電などが披露されたあと、 次期開催団体の千葉市視覚障害者協会 大石 千恵 会長が挨拶した。
第2部 では、日本視覚障害者団体連合竹下 義樹会長  が当面の情勢と日視連の課題について講演。引き続き17時まで、生活、バリアフリー、職業、青年」テーマ :コミュニケーション)、女性(テーマ :「代筆・代読」)の5分科会においてそれぞれの当面する諸問題について討議した。
とうじつの参加者は、会員のほか付添い、来賓、ボランティアなどを含め約460人。後援:川崎市、社会福祉法人川崎市社会福祉協議会、公益財団法人川崎市身体障害者協会、川崎市眼科医会 運営協力:川崎市視覚障害者ボランティア連絡会  「オブリガード」大会スローガン、大会宣言、大会決議は、つぎのとおりです。
[大会スローガン]
一、視覚障害者が安心して歩ける街づくりを
一、視覚障害者の情報バリアの解消を
一、高齢視覚障害者によりよい生活の場を
一、災害時における視覚障害者の避難対策の拡充強化を
一、視覚障害者の働ける環境の整備を

[大会宣言]
150万都市川崎で開催する本大会は、令和の時代初、そして名称変更後、初の関東ブロック協議会の大会です。v この記念すべき大会を私達は新たな気持で迎えました。
ふりかえれば今日に至るまで、視覚障害者の生活を支援する様々な仕組み、生活技術が考案されバリアフリー化も進んできました。
なかでも明治23年 日本語点字の考案、大正15年 衆議院選挙の点字投票制度化、昭和23年 日盲連結成、昭和40年 点字ブロックの発案、平成6年 デイジーの開発は、現在の視覚障害者の生活の基盤となっています。
サピエ図書館は私達の読書に欠かせません。
また、家電の音声ガイド、デイジー等が普及し、音声パソコンにより事務的な職業が可能になりました。
この間忘れてならないのは先人たちの自立への強い想い、たゆまぬ努力であり、また、支援の人々、社会と行政の理会の広がりです。
しかし、私達は現在もなお多くの困難に直面しています。
まず、技術の進歩など社会の変化とともに視覚障害者の生活に新たに対応すべき様々な課題が生じます。例えば、液晶画面の内容は音声の説明が必要です。セルフレジの利用には支援が必要です。
次に、 同行援護や日常生活用具等の福祉サービスの地域格差が切実な問題です。更に、あん摩師等法19条裁判対策、雇用の環境整備、医療・福祉の連携するリハビリテーションの充実、災害時の支援、代筆代読の必須制度化、高齢の視覚障害者の生活への対応等、課題は山積しています。本年のパラリンピック東京大会を迎えいっそうのバリアフリーの充実も望まれます。
今後も、私達は視覚障害者が社会のあらゆる分野の活動に参加できるよう条件整備を求め続ける必要があります。視覚障害者の意見を集め社会へ発信することも大切です。
この大会に参集した13団体の会員が、地域の福祉サービスやバリアーフリー化について地元自治体に働きかけるとともに、国レベルの課題については制度改善を求めていくことが肝要です。
 私達関東ブロック協議会は、日本視覚障害者団体連合とともに、視覚障害者の生活の質の向上をめざして一致団結して前進することを宣言します。
令和2年2月23日
日本視覚障害者団体連合関東ブロック協議会川崎大会

[大会決議]
1 同行援護制度において通勤通学、自営業活動も対象とするなどその充実を図るとともに地域格差を解消すること
2 意思疎通支援事業における代読・代筆サービスを必須事業として制度化すること
3 日常生活用具の品目について近年の新しい機器を考慮し基準を国が新たに設定するとともに地域格差を解消すること
4 障害者手帳交付基準に眼球使用困難症を加えるとともに、介護保険の要介護度認定判断の項目に視覚障害を適切に位置づけること
5 災害発生時に災害時要援護者支援による視覚障害者の安否確認、情報提供等が円滑におこなわれるよう、個別避難計画などの事前準備も含め特段の配慮をすること
6 セルフレジについて音声ガイドや拡大画面で操作できるシステム、または人的支援のある仕組とするとともに電子マネーや各種端末を用いた買い物や自営業における決済について視覚障害者が使いやすいキャッシュレスのシステムの開発を促進すること
7 国及び自治体の首長・議員の選挙において、視覚障害者に対して、点字、録音、拡大版の選挙広報を発行するなど必要な合理的配慮をすること
8  点字ブロック、エスコートソーンの敷設、LED式など音響信号機の設置と作動時間の配慮など道路の総合的なバリアフリー化を促進するとともに、歩車分離信号の交差点と環状交差点の交通システムについてはシステム野あり方を視覚障害者の歩行の安全を確保する観点から再考すること
9 ホームドアの設置促進、内方線付き点状ブロックの敷設、弱視者にも見やすい案内表示、駅職員の適切な配置と駅係員からの声掛けなど、鉄道の総合的安全対策を進めること
10 付添いつきのJR特急料金の割引と障害者割引にも対応した視覚障害者が使い易いICカードの発行を開発普及す ること
11 テレビの緊急放送のテロップやニュースの外国語の日本語訳字幕について副音声化を進めるとともに、字幕の文字を拡大すること
12 あん摩師等法19条を堅持するとともに、公務部門におけるヘルスキーパーの雇用を促進し、また、視覚障害あはき自営業者の就労介助のため受領委任払いの請求などの事務処理に職場介助者制度を適用するか新たな事務処理支援を制度化すること
13 あんま・マッサージ・指圧の無免許業者・無資格業者の違法類似行為者を徹底的に取り締まること
14 事務系職種の視覚障害者の雇用促進・職場定着を支援する就労後のICTのスキルアップ研制度の立ち上げ、および、その指導者の育成制度など更なる雇用環境の改善策を講じること

以上決議する。

第54回日本視覚障害者団体連合関東ブロック協議会川崎大会の報告(令和2年2月) 終わり